ウクライナ:ヤルタ

ヤルタはクリム半島の南岸にあるやや小さい都市で、天下に名高いところになった。それは一方的にヤルタ周辺の華々しい景色と亜熱帯の気候、他方では1945年に戦後のドイツの進路を決めたヤルタ会談という理由のおかげだ。ヤルタは予てリゾート地として好まれた。昔のツァーの家族や共産主義の支配者なども現在のウクライナの政府もよくヤルタへ向けて休みの日を楽しめるといえる。クリム半島についての詳細な情報はシンフェロポリについての文章で書いてある。

ヤルタの中心は小さくて分かりやすい。実はクリム半島の南岸では沢山のリゾート地が並んで、ヤルタはただその内の一つ。史料によって、ヤルタは古代ギリシアのときに創設された。ヤルタという地名は元々ギリシア語の「ヤロス」で、ただ「岸」という意味がある。クリムのリゾート地の内、なかんずくヤルタは有名な作家などにとって人気のあったところだった。ドストエフスキーとマーク・トウェーン、プーシキンとチェーホフなどはよくヤルタを訪問してこの地方について書いた。チェーホフは長くヤルタに住んでいたので、彼の住宅は現在にチェーホフの博物館として使われている。

Пл. Ленина プローシャジュ・レーニナ

レーニン広場とその周辺

ヤルタの第一中心は昔のままレーニン広場と呼ばれて、真中には大きなレーニンの像が目立つ。その広場とすぐ近くにある海岸の間にはマックドナルドがある:それは中々珍しい組合せ。隣のヨットの港からヤルタの沿岸遊歩道が始まる。様々な(色んな場合にあまりよくない)レストラン以外には遊園地などもある。中心には醜いコンクリートの建物がほとんどないのはウクライナとロシアにとって珍しくて良い雰囲気を作る。この町を歩くのはかなり楽だ。

Ласточкино Гнездо ラストチキーノ・グニェスドー

クリム半島の南岸の象徴となる建物はツバメの巣という異常な場所に立ってあるプチ城だ。このツバメの巣は明らかにドイツのライン川沿いのお城のゴシック様式を真似して、建築的かつ歴史的特徴が実は全くない。ただそんなに珍しいところでお城を作ることは人の注意をひきつけた。

黒海の上に聳えるツバメの巣という小城

燕の巣はアイ・トドール岬という高さが40メートルぐらいの岩礁の上で1911・12年に築かれたもの。建築主はフォン・シュテンゲル男爵という現在のアゼルバイジャンのバクーという町に住んでいたドイツ人の石油王だった。彼はこのお城を恋人のために作ったという話がある。現在には、燕の巣は高級レストランとして使われていて、中に入ると2グリブナの入場料になる。ヤルタからは船でも乗合タクシーでも簡単に行ける。27号と32号の乗合タクシーはレーニン広場の隣にあるバス・ターミナルから出発する。「燕の巣」というバス停からお城が見えるが、そこからの行き方はわかりにくい。海岸に向けると、右へ行くと行けそうが、左へ行かなければならない。このお城とその背景は非常に綺麗な写真のモチーフ。

Ливадийский Дворецリヴァディースキー・ドヴァーリェーツ

リヴァーディア宮殿の会議室

歴史的に大切なヤルタ会談を除けて考えても、このリヴァーディア宮殿は絶対見物に行くだけの値打ちがある。実はリヴァーディアというのはヤルタの郊外で、クリム山脈の山麓にあるところだ。下は青い黒海、上は高い山:ロシアのツァーは趣味が良かった。この宮殿を作ったのは皇帝ニコライ2世というロシアの最後のツァーだった。リヴァーディアは1911年に(というのは偶然的にツバメの巣と同時に)ツァーの家族の別荘として建築された。建築様式と家具調度、そして周りの園も素晴らしくて、それを見るときに「ツァーになりたい」という願望が湧く(ツァーが1917年に結局ボルシェビキに殺されたという事実を思い出した私は、やっぱりこの願望を退けた)。沢山の部屋はツァー時代のままで、そのときの家具や写真などを展覧する。色々な部屋はヤルタ会談のときに使われ、会談があったときのまま。会談についての写真や書類などが多い。ヤルタ会談は1945年の2月4日から開催され、一週間かかった。スターリン、チャーチルとルーズベルトというソ連・イギリスとアメリカの首脳(フランスはその会談にまだ参加しなかった)は円卓会議で戦後の東欧とドイツの将来、そしてロシアの日本に対しての立場を議論した。一つの結果として、ロシアは日本に宣戦布告して、それ以降千島を占領した。

リヴァーディア宮殿

リヴァーディアは緑が多い高級住宅街なので、その宮殿はかなりわかりにくい。ヤルタからツバメの巣、そして終点のアループカ行き27号と32号の乗合タクシーは途中で宮殿の近くに泊まる。そこへ行きたいと運転手に教えたほうが良い。入場料は10グリブナで、撮影許可は当然ながら別料金かかる:それは25グリブナでひどく高い。それに加えて、ほとんど全ての部屋は厳しく監視されている。唯一のあまり監視されていないのは右の写真で見えるルーム(もしかして監督者は病気だった!?)。それ以外は撮影許可を買わないと写真を撮れない。宮殿は午後5時に閉鎖する。

行き方

クリム半島のヤルタまでは列車がない。ヤルタは→シンフェロポリ というクリムの首都から80キロぐらい離れて、シンフェロポリの駅前から出発する トロリーバスでヤルタまで行ける。ちなみにこの号線は世界の一番長いトロリーバスのルートだ。しかし、このトロリーバスは古くて、山脈を越えるからノロノロ運転している。80キロの所要時間は 2時間半で、運賃は7グリブナ(約150円)。しかもこのトロリーバスはヤルタの中心まで行かないので、着いたあとに1号線のトロリーバスに乗り換える。中心まではそこから数分しかかからない(4番停下車)。大きな乗合タクシーは絶対トロリーバスより便利かつ早い。それで行くと、所要時間は二時間以下で、運賃は9グリブナ(約200円)。出発点はトロリーバスと同じ。

宿泊

名前・住所・電話 位置 部屋代 コメント
ホテル・クリム
モスコフスカヤ通り 1/6
電話:(0654)-271701
一番真中。海岸まで300メートル 140 грн.
(約3200円)
一番真中にあり、バルコニーから海も山も見える。設備は清潔かつきれい。お勧め!

全ての値段は2003年5月現在。
*грн.はグリブナの略語。 1グリブナは約22円(2003月6月現在)。

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