ウクライナ:ガリチアから黒海まで

ウクライナという国名はスラブ語で、「辺境の国」という意味がある。そしてこの国の国歌のタイトルは「ウクライナはまだ滅亡しなかった」だ。それはあまり期待がもてる国ではないと思える。東ウクライナにいるとき、この国は本当にただロシアの辺境の国であると感じるけど、実はウクライナはかなり違う国だ。特に西ウクライナのほうは第二次世界大戦の戦後までロシアに支配された時代がなかったので、ロシアの文化と関係がなかった。それゆえ、特に西ウクライナは一番ウクライナの文化や言語が活き活きとしている。しかし、本格的なウクライナの文化には、ポーランドやハプスブルク家いわゆるオーストリア・ハンガリー王国などからの影響が大きい。
近代的な歴史を見ると、20世紀はウクライナにとって大変な時代であった。そのとき、ポーランド・ドイツとロシアはウクライナを侵略して戦争と紛争が多かった。その内、戦後に行われた対ロシアの反対運動はあまり知られていない事実だ。


ウクライナの国旗 ウクライナの国旗: 上は紺碧で、下は黄色。紺碧の部分は青空、黄色はウクライナの無限の穀物畑を象徴する。ウクライナの大きな部分は肥沃な黒土のあるステップに占められ、小麦などは大規模に栽培されているのでウクライナはよく「ヨーロッパの穀倉地帯」と称されている。 三叉の矛 「トリーズッブ」(三つの歯)と呼ばれている三叉の矛はウクライナの紋章だ。この紋章は元々インド・ゲルマンのシンボルで、ウクライナのコインやお札、そして政府の建物などの正式なものならどこで見えるものだ。


ウクライナについての様々の事実:

面積:
人口:
民族:
首都:
言語:
宗教:
政体:
元首:
一人当りの国民総生産:
貧乏層の割合:
インフレーション(消費者物価):
国民総生産の増加率:
通貨:
為替レート:
約60万 km² (日本の1.6倍)
約4800万人(日本の40%/趨勢:人口減少)
ウクライナ人 (78%)、ロシア人 (18%)、ユダヤ系・ ルーマニア系・ハンガリー系などの小数民族
キエフ (約260万人)
ウクライナ語 (特に北と西)、ロシア語(特に南と東)
ウクライナ正教・東方帰一教会・カトリック・ロシア正教・プロテスタント・ユダヤ系など
共和制
レオニード・クチマ大統領(1994年〜)
4200 米ドル (住民の購買力によって、2001年)
29% (2001年)
12% (2001年)
9% (2001年)
グリブナ/グリヴナ(Hryvnia・UAH)
1 ドル = 約 5.6 UAH (2003年, 最近安定)

 

出典:データは部分的に
CIA World Factbook
から


このデータについてのコメント:このデータを見るとわかるが、ウクライナの人口密度は日本より大変に低い。様々な少数民族を別にして、ウクライナの四分の三ぐらいはウクライナ人だ。ロシアの「少数民族」は特に東方とクリム半島の辺に住んでいる。その為、クリム半島はロシア人の自治共和国になった。当然ながら、使われている言語の分割は同じ。東方の一部とクリム半島ではウクライナ語はあまり通じないが、やや国粋主義的な西ウクライナではロシア語はあまり使わないほうがいい。


古いカルボワンツィのお札

現在の20グリブナのお札
1991年の10カルボワンツィのお札
今使われている20グリブナのお札

ソ連崩壊後、自由になったばかりウクライナはカルボワンツィという新しい貨幣を導入したが、他の旧ソ連と同じく、経済は大混乱して激しいインフレーションになった。その為、1992年にはグリブナ(グリヴナという書き方もある)という貨幣が導入され、最近中々安定した。補助通貨はコピンカ(複数:コピノク)と呼ばれ、1・2・5・10・25と50コピノクのコインがある。1グリブナのコインもあるが、あまり手に入らない。

お札では、1・2・5・10・20・50・100・200と500グリブナのお札がある。数年前作ったグリブナのお札と新しいお札のデザインは違うが、両方ともは有効だが、カルボワンツィは無効になった。特にロシア人が多い地方では、沢山の人はウクライナのお金を相変わらず「ルーブル」(旧ソ連、そして現在のロシアの通貨の名前)と呼ぶ。

大都市には、現金自動支払機が沢山あって、普通のクレジット・カードならどこでも使える。しかもクレジット・カードでお金をおろすと、為替レートは現金の為替レートより良い(例えば緑のPrivatBankはかなり安全)。それ以外は両替所はどこにもあるが、両替する前には為替レートを比較したほうが良い。しかし、不思議なことに西ウクライナの→リヴィウの両替所のレートはどこでも同じ、他の都市と比べてやや悪い。大きな店や上級のレストランなどではクレジット・カードで払う可能性がある。
噂によって、クレジット・カードに関する詐欺の事件はウクライナで非常に多い。一つの方法は現金自動支払機で違法的な手加減を加えること。それは本当に非常に多いかどうかわからないが、銀行の中に置いてある現金自動支払い機で営業時間のときにお金をおろすと安全だろう。

経済に関するデータでは、かなり高い成長率は肯定的に目立つ。それに加えて、一人当りの国民総生産は4000米ドル以上でバルト諸国を別にして旧ソ連で比較的に高い。但し、ウクライナの人口を見ると、3分の一は貧乏だ。ウクライナにも、最低限度の生活水準ということが定められた。その最低水準を越えない人は「貧乏層」の人だ。ウクライナの貧乏層を見ると、老人が特に多い。その理由は非常に低い年金だ。多くの年寄りは月に1300円以下しかもらわない。確かにウクライナの物価は安いが、1300円だけでウクライナで生活するのはあまりにも酷すぎる。公的扶助がほとんどないので、体に不自由な人なども大変そう。その為、教会や駅、百貨店などの前には物乞いする人が多い。老人や子供、体に不自由な人など:ウクライナでは貧乏さは遍在だ。ウクライナでの最低賃金は法律で決められ、最低限定の生活水準より低いので、その貧乏さは驚くべきものではない。しかし、ウクライナはその法律を改善する努力を推進するらしい。

その貧乏さとの著しい対立は大都市の中心で見えるお金持ちの富裕、そして修理されたばかり金に富んだ教会だ。貧乏と富裕の間の差はウクライナでロシアと同じく信じられないように大きい。しかもお金持ちの人はウクライナで自分の富裕を剥き出しにして表す。表面だけを見ると、ウクライナでの生活水準はかなり高いが、実際は違う。しかしグルジアアルメニア、そして特に隣国のモルドヴァ共和国という旧ソ連の国々と比べて、ウクライナのほうが住みやすそう。この国は現在にも進歩しているのは見るとわかることだが、その進歩はいったいいつ普通の人の生活を改善するだろうか。


ウクライナ語はスラブ語系の一つで、その内に東スラブ語に属している。昔、ウクライナ語はただロシア語の訛で、「汚いロシア語」と呼ばれていた時代もあった。確かにウクライナ語はロシア語と大変に似ているが、単語などを見ると、ウクライナは方言ではなくて、本当に違う言語だとわかる。ウクライナ語はロシア語と同じくキリル文字を使うが、色々な相違がある。ロシア語ができる人にとって、ウクライナ語は簡単に読めそうがうまく読めない。ロシア語には使われていない文字がある上、ロシア語にはあるが読み方が違う文字もある:

全部で四つの「イ」を表現する文字があるのは最初に間違えやすい:

  • 第一は「I
  • 第二は「Ï
  • 次は「И
  • そして 「Й

という文字がある。第一と第二の文字はロシア語にはない。「I」というのは普通にやや短い「イ」だ。続いて「Ï」というロシア語にもローマ字にも存在しない文字は「ウイ」のような発音がある。ウクライナ語の「И」はもっと「ウィ」(ローマ字で「Yi」)の発音に近くて、ロシア語の「Ы」と同じだ。その代わりに、そのロシア語で使われている文字はウクライナ語で使用されていない。最後には、ロシア語にもある 「Й」(イ・クラトコイエ)という文字がある。それの意味は「短い イ」ということで、ロシア語と同じくたいてい形容詞などの語尾のためだけに使われている。その「イ」の多様性は紛らわしい。しかも沢山の言葉には、様々な「イ」は連続する。ロシア語で「КИЕВ КИÏВ 」と書かれ、発音は「キウイフ」に近い。

ロシア語と同じく、「ヒ・ヘ・ホ」のような「H」が存在しない(その「H」と言う文字があるけれども、発音は「ン」だ)。当然ながら、「H」が入っているロシア語の単語がないが、外来語の場合には、ウクライナ語でもロシア語でも「G」(「ガ」に入っている「G」)の文字が使われている: それは「Г」だ。その文字はロシア語でいつも「ゲー」と読まれている:例えば「ホテル」という外来語は「Готель」と書かれ、発音は「ゴテル」だ。しかし、ウクライナ語では「Г」の読み方は「ゲー」ではなく、「ハ」に入っている堅い「 H 」に近い。要するに「Готель」の読み方はウクライナで「ッホテル」だ。その為、ウクライナの「Гривна」という通貨は「グリブナ」ではなく、「ッハリヴナ」のように発音されている。ロシア語の「E」はロシアでたいてい「イエ」と読まれている。この文字はウクライナ語でもよく使用されているが、この場合の発音は英語・ドイツ語などと同じくただの「エー」だ。この普通の「エー」はロシア語で「Э」と書かれている。しかし、この文字はウクライナ語にはない。その代わり、「Є」という本当に間違えやすそう文字があり、その文字の発音は「イエ」だ。要するにこの文字はロシア語の「E」を代理する。これは上の「イ」と同じようにロシア語ができる人にとってかなり紛らわしい。ロシア語の硬音記号Ъ)はウクライナ語で全く使われていない。その代わりに、所々にはロシア語で使用されていない「’」(省略符)が見える。軟音記号Ь」はロシア語よりよく使われている。

ロシア語は大体どこでも通じる。実はウクライナの東方とクリム半島にいるとき、ウクライナ語がうまく通じない場合もある。西ウクライナは反対だ−うまくロシア語できない人がかなりいる。沢山のウクライナ語の言葉はロシア語と全く違う。「はい」という大切な言葉はロシア語で「ダー」、ウクライナ語で「タック」だ(ポーランド語と同じ)。観光客にとって「ありがとう」や「すみません」、「いくらですか」、「わかりません」などの大切な言葉はウクライナ語でロシア語と全く違う。私の印象は、ポーランド語もロシア語も一応できる人はすごく早くウクライナ語を勉強できるということだ。ロシア語”だけ”うまくできる人は、西ウクライナなどへ行くときに少しだけ大切な単語をチェックしたほうがいい。
様々なスラブ語での一番大切な単語の一覧を見るため、ここをクリックして下さい。キリル文字を短く導入するページは次:
http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/misc/export/cat/cyryl/honji.html

リンク集

ウクライナを旅する前に役を立つリンクを紹介します。いいページご存知なら、気軽に知らせてください。

  • www.go2kiev.com: 使いやすい、ウクライナの首都についてのポータルサイト。特に長くキエフにいる方とリピーターにとって大変助かる情報源。英語のみ

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